このままだと土曜日まで持たない気がしたので、一度心を無にして落ち着きを取り戻すために仕事帰りにレバ刺しを食べに行ってしまった。おいしいなあ!という気持ちでいろいろな悩みを忘れられた。このままレバ刺しを食べずに金曜日まで仕事をしていたら、突然泣き出してしまいそうな気がしていたので、今日食べておいてよかった。でも焼肉屋さんに行ってレバ刺しだけを食べて帰るわけにもいかないので、他にも注文したら合計で3,624円になった。このまえカキフライを食べた「あじろ亭」では確か3,000円くらいで飛騨牛のステーキが食べられたはずなので、ひとりで焼肉屋さんへ行くよりは、洋食屋さんでお肉を食べたほうがもっと居心地よくおいしいものが食べられたかもしれない。居心地よくレバ刺しを食べられるお店があればもっといい。たとえば、イオンの二階にあるスーツ売り場の試着室の鏡を強く押すと回転扉が開き、地下へとつながっていて、階段を降りていくと鍾乳洞の入り口に出る。鍾乳洞は天井が低いので、頭を打たないように気をつけながら奥へ進み、ちょうどイオンの裏手にある野球グラウンドのピッチャーマウンドの真下の位置にくると天井が高くなり、小さなテーブルが備え付けてあって、テーブルの上にはすでに一人前のレバ刺しが用意されている。ここは秘密の場所なので、誰にも邪魔されずひっそりとレバ刺しを味わうことができる。もちろん無料でレバ刺しを食べてごちそうさまでした、という訳にはいかないけれど、お金を払うためのレジが鍾乳洞の中にあるのも興ざめなので、岩と岩との隙間に目立たないように取りつけられた機械にクレジットカードを差し込むだけで支払いをすませることができる。機械はイオンの食品コーナーのレジとつながっているので、そこで管理されている。そもそもイオンから鍾乳洞へと入っていくこと自体が興ざめでもあるので、イオンが中世ヨーロッパの古城風の建物になればいい。見張り塔の上に「AEON」と書かれた旗がたっている。「AEON」という文字にはもちろん、剣や盾、ライオンのような動物の絵があしらわれている。