『コレラの時代の愛』

コレラの時代の愛

コレラの時代の愛

当初10万円程度の予定だった洋服代が3万円程度ですんだので、なにか他のものも買ってよいという気分になりマナハウスで買った。タイトルがかっこいいし、帯に書いてあったあらすじも「困惑と不安、記憶と期待がさまざまに交錯する二人を乗せた蒸気船が、コロンビアの大河をただよい始めた時……」という感じでかなりそそられる。

ビター・アーモンドを思わせる匂いがすると、ああ、この恋も報われなかったのだなとつい思ってしまうが、こればかりはどうしようもなかった。

書き出しもすごくいい。「ビター・アーモンド」と書いてあるにもかかわらず、勝手にピーナッツ・バターの味を思い浮かべてしまってお腹がすいた。いまのところ、20ページあたりの、ウルビーノ博士が周囲の人には内緒で秘密の薬を飲んでいるというところがおもしろいと思った。全体的に、おもしろいあらすじがずっと続いていくような語り口で、細かく描写するところは描写するといった書き方が、読んでいて楽しい。ちょうどいま、こういうのが読みたいと思っていたところ。