『007/カジノ・ロワイヤル』(マーティン・キャンベル監督)

プラハバハマ諸島、ヴェニスなどの地名とともに、それぞれの土地の風景をみることができたし、ヘリやかっこいい車や列車、ヨットといろいろな乗り物をみることができてかなり楽しいけれど、風景が一瞬写ったあとすぐに人物のアップになってしまうのがすこし残念。古城がみれたのはうれしかった。冒頭の、テロリストをおいかけてボンドがビルの工事現場で大暴れするところでは、テロリストがきちんと壁を飛び越えたり、階段を使って逃げたりするのにボンドは壁をぶちやぶったり階段を使わずに昇降機を壊して移動したりと、まったくスマートではない、悪者のような追いかけ方をするところが冷酷というより無茶苦茶するひとといった感じで、ミッション・インポッシブルのようなスパイ活動よりは、ジャッキー・チェン主演の『プロジェクトA2』の楽しさに近い。悪者がテロリストから資金を借り、それを株やギャンブルで増やして返そうとするとか、ポーカーで勝ったお金が振込み期限までに入金されていないとか、お金がらみの内容が多かったので、参考になるような気がした。午後3時までに入金がなければ小切手が不渡りになるというスリルだとか、他行がいくらの金利を提示してくるかというかけひきでの心理戦、老舗和菓子店が市の中心部にあたらしい店舗を出す計画があり、その設備資金融資をめぐっての金利提示のかけひき。相手の銀行がどんな手を使ってくるかを、忍術や超能力やとんちを駆使して調査する。和菓子の餡子の中に隠された盗聴器など、楽しいスパイグッズも満載。