映画

『松ヶ根乱射事件』(山下敦弘監督)

(人間って悲しくて、可笑しくて、情けなくて、いとおしい)とチラシに書いてあったけれど、ぜんぜんいとおしいとは思えなくて、みんな撃ち殺されてしまえばいいのにと思った。最後に乱射する直前に、登場人物が普通に暮らしている様子を順番にみせていくと…

『恋人たちの失われた革命』(フィリップ・ガレル監督)

182分この映画をみていて、退屈でだらだらしていてなかなか終わらないと思ったけれど、だからだめということではなくて、退屈でだらだらしていたからこそよかった。68年から69年にかけての出来事を3時間にまとめているのだから長いというよりはむし…

『叫』(黒沢清監督)

黒沢監督の映画はだんだん、画面のここをみて下さいというのがはっきりしてきているような気がした。『LOFT』と『叫』をみてそう感じた。それまでの映画だったらひきの画で撮りそうなところも、かなりよりになっているように思えたから。洋服が赤いのも…

『それでもボクはやってない』(周防正行監督)

映画の冒頭からずっと加瀬亮演じる主人公の青年に同一化させられて留置所や取調べ等でつらい思いをして疲れた。加瀬亮のアップが多くてもう加瀬亮しかみつめることができない。やってないのに有罪になるなんて間違ってる!日本の裁判制度はおかしい!裁判員…

『サラバンド』(イングマール・ベルイマン監督)

顔のクローズアップをみつめていると、映画の登場人物たちが登場人物本人を演じた再現VTRのような感じがしてきた。スクリーンが顔だけで埋め尽くされるくらいのクローズアップによって細かな表情まで映し出されてしまい、あまりにも細かすぎて映画の、物…

『明日へのチケット』(エルマンノ・オルミ/アッバス・キアロスタミ/ケン・ローチ監督)

三人の監督の中でも、特にキアロスタミ監督のパートが素晴らしかった。オルミ監督、ローチ監督のパートは列車の中でなくてもよさそうな気がしたけれど、キアロスタミ監督のパートからは列車で撮影する喜びが感じられた。また、オルミ監督とローチ監督の1部…

『007/カジノ・ロワイヤル』(マーティン・キャンベル監督)

プラハ、バハマ諸島、ヴェニスなどの地名とともに、それぞれの土地の風景をみることができたし、ヘリやかっこいい車や列車、ヨットといろいろな乗り物をみることができてかなり楽しいけれど、風景が一瞬写ったあとすぐに人物のアップになってしまうのがすこ…

『ありがとう』(万田邦敏監督)

オープニングで、阪神大震災で被害にあった消防団の男性がのちにプロゴルファーを目指すことになるといったような字幕が、ゴダールのように浮かび上がるところからわくわくさせられたし、前半と後半とでがらっと映画が変わるところは「パビリオン山椒魚」が…