『恋人たちの失われた革命』(フィリップ・ガレル監督)

182分この映画をみていて、退屈でだらだらしていてなかなか終わらないと思ったけれど、だからだめということではなくて、退屈でだらだらしていたからこそよかった。68年から69年にかけての出来事を3時間にまとめているのだから長いというよりはむしろ短いのだけれど、革命ばかりを描いてあっという間の3時間にしてしまうことなく、だらだら過ごしている若者たちと同じ気分にさせてくれる。映画の中の若者たちはみんなきれいな白いシャツとタイトな黒いジャケットを着て美しい容姿で街を歩き、ときにはみんなで踊ったりもする、その姿にうっとりしてしまう。でも、もしも日本が舞台で、主演の武田鉄也が長髪で若者役を演じ、学生運動に挫折したり恋をしたりする映画だったなら、どうだっただろう。フィリップ・ガレル監督がまったく同じカメラアングル、カット割りで撮影したとしても、まったく違った映画になってしまう。フランスの街並みやフランスの若者たちの容姿の美しさはなによりも重要だということがわかる。そんなフランスの若者たちが48手トランプをみつめながら笑いあうシーンをみたときはすこしうれしくなった。それにしても、69年に若者だったひとが撮った革命についての映画をみせられると、東京に住んでいるひとから(いや、でもやっぱり東京は住むところじゃないね)と語られているような気分になる。地方在住の人たちに向けられるそのような台詞は、何度かテレビなどで耳にしたことがあるように思う。