伊勢の国際秘宝館へ。オープンしたばかりの頃はどうだったか知らないけれど、ほんとうにエッチな意味でドキドキしながらここに訪れるひとはもう誰もいなくて、クレイジーな展示をみながら「なんだこれー」とばかにするような楽しみ方をする場所だろうから安心して(こんなくだらないところに遊びに来るなんてちょっと特別なひとになったみたい)という贅沢な気分を味わえると予想していたのに、実際に訪れてみると「なんだこれー」とばかにするような楽しみ方をされる時代も過ぎてしまって今はただ建物すべてが崩壊するのをじっと待っているように思われ、ひどく寂しくて悲しい気持ちになった。
クールな感性を持った都会の若者たちから斜に構えた視線を浴びておもしろがられていたのも遠い昔、看板ははがれ、塗装は笑えない程消えかかり、すべての展示に比喩ではなく蜘蛛の巣がはっている。順路の途中で500円払ってひいた福引では、ピノキオが描かれた紙袋に入った品物を渡され、男性器をピノキオの鼻に喩えているわけかと思い、袋を開ければ性的なグッズが出てきて「こんなのいらねえよー」と喜ぶことになると思っていたのに、性的でもなんでもない、幼児がお風呂で遊ぶおもちゃが入っていて涙が出そうになった。晩御飯に松阪牛を食べなかったなら悲しさのあまり命を絶っていたかもしれない。松阪牛のおかげで生きている。どうもありがとう。