カブで走っていたらそれほど遠くないところで黒い煙が上がっていて、どこかの畑で高齢者が勝手にゴミを燃やしているときの煙とは比べものにならないくらい危険な感じがしたので思わず煙の上がっている方へと向かった。煙をみながら走っていると、上空にはヘリコプターが4機か5機、煙のまわりを旋回しているのがみえた。現場に近づくに連れて人の数が増え、軽トラックで向かってくるあのひとは庭でゴルフの練習をしていたひとだとか、いま自転車で通りすぎていったひとは土地を売ったお金で個人年金を申し込んでくれたひとだとか、あそこで突っ立って煙をみているのはいつも返済が遅れる個人事業主だとか、いままでに出会ったひとたちがどんどん集まってくるようで、まるで最終回のような気分になった。キックボードに乗って煙の方へ向かう肥満児の姿も印象に残っている。そっちにお前のおやつはないぞ、引き返せ!