朝礼で(実績ゼロでは帰ってくるな)と言われると、また今週も結局デス・マッチかと反射的に思う。実績ができるまで戻らずにまわり続けることを上司や先輩が「デス・マッチ」と呼ぶのを耳にしてからそう思うようになった。今月は役務収益ではしっている。ひとつの項目に絞って仕事に打ち込むことを「はしる」と呼ぶのを耳にしてからそう思うようになった。役務でぼわれるという表現も当たり前のものになった。「ぼう」「ぼわれる」「ぼっていく」という使われ方をする。追い立てられるような状況で使われることが多いので、そういう意味なのだと思うようになった。方言なのかどうかはよくわからない。毎日毎日、役務でぼわれて投信・生保にはしっている。デス・マッチの日々があと何年続くのかと思うと気が遠くなる。幸い今週はまずまずの実績をあげられたので普通に帰ることができたけれど、デス・マッチと言っても夜遅くなってくるとインターホンを押しづらい。ああ今頃は晩御飯の準備で忙しいかなとか、もう晩御飯を食べているところでお邪魔したら怒られるかなとか思う。
晩御飯がらみの時間帯にはインターホンの音が鳴らなくなればいい。インターホンを押すと音が鳴るのではなく、家全体が震えて来客を知らせる仕組みになっている。地震ほど大きな揺れではないし、仮に地震と同じ揺れだったとしても家具はすべてL字型の金具で壁に固定されているので倒れる心配はない。玄関先に出てきた奥さんも、訪問者も、家から伝わるセクシーなバイブレーションでそれぞれの性器を湿らせることになる。ああ、こんな地震のせいであたしの湾岸地帯では液状化現象が起きてしまって大変よ、あなたの固いその土砂で埋め立てて、はやく!