ヘルメットをしていると頭がかゆくなる。蒸し暑いせいだと思うけれど、冬でもかゆくなったことがあったような気もする。でも冬には頭がかゆかったことよりも冷たい風のせいで顔が痛かったことのほうが印象が強くてはっきり思い出せない。頭皮をかきむしると髪の毛が抜けて禿げてしまうのではないかという心配がある。「来月からわたくし昇格いたしますので今後は指名料をいただきます」と言われ、もともと自宅から遠くて通うのが面倒だったこともあり行くのをやめてしまった美容院でヘアチェックをしてもらったときに聞いた髪についての話は覚えていて、いまでも禿げにくくするためのシャンプーの仕方を実践している。
アチェックは美容師の手で小型カメラを頭皮に向けられ、自分の太ももにモニターを置いて映し出される頭皮を観察するというやり方で行われた。頭皮は予想していたより脂で汚れており、髪の毛の太さもまちまちだった。髪の毛の太さがまちまちになってくるのはよくないことだと言われた。髪の毛が減ってくると言っても全体の量が減ってくるのではなく、脂によって毛穴がふさがれてあたらしく生えようとする髪の毛が細くなってしまいやがて産毛となって目にみえなくなるために禿げているようにみえるのだとの説明を受けた。その脂をきれいに取り除くことができれば、髪の毛がいつまでも太いまま生え変わり禿げることなく生活することができる、そう教えられた。毎日2回シャンプーをするようにして、毛穴がふさがらないようこころがける。夕食はなるべく脂っこくないものをとるようにし、寝ている間に毛穴がふさがってしまわないようにする。美容師の教えを守っていても、毎日ヘルメットをかぶって頭がかゆくなっていては効果がないのではないか。ヘルメットをかぶらずにスーパーカブに乗れたら頭がすっきりしていいと思う。ヘルメットはもちろん転倒したときに頭部に怪我をしないようにかぶるものだけれど、道路や自動車がすべてフカフカの素材でできていれば必要なくなるので、そうなってほしい。道路がすべてフカフカの素材になってしまったら街の美観が損なわれるという妄言を吐く者が仮にいたとしても、それはきっとフカフカの素材=パステルカラーという固定観念のせいに違いない。アスファルトのような色のフカフカの素材もあることは、既にいま現在アスファルト色の低反発座布団を使用しているので確実。道路がフカフカなら、道端に寝転んで電線にとまっている雀を眺めることもできてたのしい。