ピンチ!お父さんのボーナスが半減 そのとききみにできること


もしも父の日にプレゼントを渡してもお父さんが浮かない顔をしていたのなら、それはきみが描いた似顔絵がお父さんのマイナスな個性を全面に押し出したものだったからだけではなく、ボーナスが昨年の半分しか貰えなかった可能性が高い。お父さんのボーナスが半減してしまうと、夏休みに連れていってもらう約束をしていた旅行先が急遽近場に変更されてしまうおそれが出てくるし、きみの誕生日が冬のボーナス前だったとしたら誕生日プレゼントのリクエストが通りにくくなることも考えられる。それはきみにとっても一大事。ここでそんなピンチを回避するための、いくつかのアイデアを紹介するが、その前に、ボーナスが半分になってしまったからといってお父さんを責めないであげてほしい。大企業に勤めているお父さんはともかく、この狭い日本の大半のお父さんは中小企業に勤めているか、あるいは個人事業主として働いているはずだ。大手メーカーの国内操業停止、製造拠点の海外移転などにより、下請け、孫請け、さらに曾孫請けの中小零細企業では給与を削減して雇用を維持するかリストラを行うかという厳しい選択を迫られている。ボーナスが半分になったとしても、貰えるだけましだと考えているお父さんも多い。だから、きみたちにできることは、そんなお父さんたちを少しでも勇気づけ、明日も元気よく出勤して、きみたちがお菓子やおもちゃを買ったりするお金を稼いできてもらうようなコンディションを作り出すことであり、そのためのいくつかの方法をこれから紹介したい。


まずは、減ってしまったボーナスを穴埋めするべく、お金を増やす方法について考えていきたい。給与や賞与が減って元気を失っているお父さん、給料なんて我慢料と呪文のように唱えているお父さんたちからは、我慢料が減っていく一方で仕事から受けるストレスは減らず、むしろ増える一方でやりきれないという嘆きが多々あがってきている。したがって、減ってしまった我慢料を埋め合わせ、むしろ以前を上回る我慢料になれば、明日への活力ともなるだろう。
最初に必要なのは、お金だ。お金を増やすためには、その原資となるお金が必要だ。そこで、お父さんの財布から一万円を抜き取る、というのは間違いだ。いくらお父さんを元気づけるためとはいえ、勝手にひとの財布からお金を抜き取るのはいけない。ここはひとつ、いままでお母さんが貯金しておいてくれたきみたちのお年玉の一部を利用すべきではないだろうか。大事なお年玉が減ってしまう、とひるんではいけない。単にお年玉をお父さんに渡すのが目的ではなく、あくまでもお金を増やすためのもとになるお金が必要なのだ。お母さんが管理するきみ名義の口座から一万円を引き出したなら、まずは競馬場へ行ってみよう。近くに競馬場がないきみは、最寄りのウインズを探してみよう。競馬なんてやったことがないし、ルールがわからないというきみ、競馬新聞を握りしめ、なにやらボールペンで書き込みしながら歩いている中年男性だって、最初は競馬なんてやったことはなかったし、ルールも知らなかったはずだから、心配しなくても大丈夫だ。しかも今回は、競馬のルールを知る必要はないし、出馬する馬の特徴、騎手の成績を学ぶ必要もない。ここでは、(まったくの初心者がなにも知らずに選んだ馬が意外と当たる)という競馬ファンの、さらにいえば賭事全般のファンの間で囁かれ続けるビギナーズラックというものを利用するからだ。


競馬場へ行っても、きみたちはまだ幼いから馬券売場で馬券を売ってもらえない。だから代わりに馬券を購入してくれる大人を探さなければならない。ここで誰に馬券の購入を依頼するかが重要で、馬に賭ける以前にこの人選がお金の行方を大きく左右する。いくら競馬にカジュアルなイメージを持ってもらおうと広告を打ってみても、馬券売場に集まるひとびとの大半は気合いの入った競馬ファンなので、託したお金が行方不明になってしまう可能性が高い。ここでは、焦らずじっくりと、若い男女のカップルを探してみてほしい。特に付き合いだして日が浅そうなカップルを狙うとよい。カップルの女性が子どもをかわいがることで相手の男性に母性をアピールしたいという気持ちを利用し、男性に対しては子どもの頼みを聞いてあげる面倒見のよさをアピールする機会を与えるという意味で、ひとりで馬券を買いに来ているひとに依頼するよりも成功しやすいと考えられる。
馬の選び方はいろいろあり、わかりにくい点もあるが、カップルから教えてもらい、頭に浮かんだ好きな数字をチェックして馬券を購入し、あとはレースを見守ってうまくいけば換金するだけだ。きっときみはレースの最中、ここまで真剣になにかを見守ったことはこれまでになかったと気づくだろう。それをきっかけに、すべては競争で、競争に勝たなければ報酬は得られないと感じ、日々勉強に励むようになれば、短期的にお父さんを喜ばせるだけでなく、将来的にお父さんに大きな恩返しができる。多くのお父さんたちは、給料なんて我慢料、と思いながら、(あともう少し、勉強をがんばっていい大学を出ていればこんなことには)と後悔しているが、後悔先に立たずという言葉があるとおり、子どもの頃にはみんなそれに気づけなかった。みんなの内面や個性について、お父さんはちゃんと理解してくれているが、学校の先生や会社の人事の人たちはそんなことはわからない。だから決められた科目をどれだけ勉強できたかという基準で人を判断するのはとても公平な判断の仕方だし、単なる好み、雰囲気だけで人を判断しないためにはそれしか方法がないと言っても過言ではない。一着と二着の馬がほぼ同時にゴールし、写真で順位を判定している間にきみはそれに気づき、仮に、馬券が外れてお年玉を無駄にしてしまったとしても、的中した馬券の払い戻し金よりも大切なものを得たと目を輝かせて競馬場を後にすることだろう。したがって、当たれば増えたお金をお父さんの財布にそっと忍ばせてお父さんを喜ばせ、外れても将来的に親孝行ができるという意味で、これは絶対に成功する方法なので、ぜひ試して頂きたい。


いくつかの方法といいつつ、ひとつしか紹介できなかったので、最後に「父に捧げる日本語ラップ」を披露して終わりたい。金銭的な面以外で、お父さんを応援して勇気づけられるのはきみたちしかいない。バックトラックは用意していないので、お兄ちゃんかお姉ちゃんか弟か妹、兄妹がいないひとはお母さんにボイスパーカッションをお願いしよう、このラップで、お父さんに気持ちのいい月曜日を迎えてもらおうではないか!




今朝も満員電車で出勤
近々 に期日くる書類がパンパン
今日も為替は円高更新
押しつぶされながら読む新聞


カチカチならす三色ボールペン
じりじり続く会議 延々


立てば営業 座れば事務処理
歩く姿は模範囚


明日の契約 はずせば白紙
強く握った 胃の薬


遙かかなたの ノルマ達成
まるで逃げ水 蜃気楼
週ごとに確認 修正目標
いっこう に得られない達成感


ボーナス半減 手当は削減
昇給も減らされ 早急に節約に着手
ビールは卒業 発泡酒


月から金 終えて土日in da haus
どこも連れてってやれなくて ごめん
なんて言わずに Check it out YO men!


連れてってパパ 動物園
ソフトクリームなめて ご機嫌 
延期しないでよ水族館
イルカショーを待つ ドキドキ感


お父さん行きたい プラネタリウム 
星空の下の白昼夢

 
滑り台の下公園の砂場
デパート八階 おもちゃ売場
車で 電車で 自転車で
この瞬間 生きている実感
一緒に確かめる 二日間


ぼくも わたしも 父ちゃんの味方
誰よりも 尊敬してる背中


だから
上司なんか ぶっとばせ
仲間同士さ 手を貸すぜ
大人はみんな酒のみゃ
忘れてしまう生き物さ
ついてこいよ ついてこいよ
ABC ABC E気持ち